一人ひとりが「より良い未来」とつながれるエシカル消費を日常の暮らしから

 エシカルコラムでは、長野県内外でエシカル消費の普及等に取り組む方々をご紹介し、エシカル消費への思いや最新情報を発信します。
 今回は、長野県共創推進パートナー制度において「エシカルプロモーションスペシャリスト」として長野県のエシカル消費の普及促進にも関わった、鎌倉にある エシカル・ SDGs 商品のセレクトショップ「えしかる屋」プロデューサーの”稲葉 哲治”さんにお話を伺いました。

〇稲葉さんのこれまでの取り組みを教えてください。

 フィリピン山岳少数民族の竹文化に根差したエシカルブランド「EDAYA」のプロボノをきっかけにエシカルに関わりはじめ、2016年から東京・日本橋のエシカル商品のセレクトショップ、2021年からは鎌倉の「えしかる屋」のプロデューサーとして様々なブランドや新しいエシカルのトレンドを広く伝える仕事をしています。講演やイベントも多く行い、社会活動に取り組むモデル達によるエシカルファッションショー等も催しています。


 また鎌倉市のフェアトレードタウン認定を目指す団体「鎌倉エシカルラボ」の共同代表として、地域コミュニティにエシカル消費を伝える活動にも取り組んでいます。人事・働き方などの仕事もしており、2015年には長野県佐久市で行われたTEDxSakuに登壇をして「ハイブリッドキャリアのすすめ」というスピーチをしました。2022年度末に長野県の「エシカルプロモーションスペシャリスト」に任命され、県内で先進的な活動を行う方達とのコミュニティ構築などを試みました。

〇いま特に注力されていることは?

 ネイチャーポジティブ(自然を維持ではなく回復させる取り組み)やサーキュラーエコノミー(作って使って捨てるのではなく循環させていく取り組み)などの新しいエシカルから生まれるブランドやサービスを「えしかる屋」を通じて広めていく一方で、エシカル商品の基本であるフェアトレードの現代的な意義を見直して、フェアトレード商品を多くの方がわかりやすく、手に取りやすく購入して日常で使ってくれる環境を作ることに注力をしています。
 またエシカルに興味をもつ方達が実際の商品やサービスに触れて、ブランド代表などとも交流し、各人なりのマイエシカルをもてるようになるための教育的な機会作りにも取り組んでいます。

〇ご自身の活動を通して伝えたいメッセージはありますか?

 エシカルとは、「環境にいい」「地元に根差している」などのことだけではなく、もっと大きく「あなたがどんなより良い未来を作りたいか?」の規範のことだと考えます。一人ひとりが自分が何が好きか、どんな社会になるといいのかを自由に考えて、日常の衣食住などの暮らしのちょっとしたところから取り組んでいけるようにしていけることを伝えたいです。

〇今後の展望を教えてください。

 現在、鎌倉市がフェアトレードタウンに認定されるための取り組みに関わっていますが、日本各地でこういった地域コミュニティに根差したその場所らしいエシカル消費のあり方をみんなで考えて行ってみることが広がるといいなと思っています。そんな取り組みをしている各地域が相互にご当地エシカル商品スタイルを自慢しあえるような機会も作りたいです。
 長野県は各地域でユニークな取り組みが多く、このようなチャレンジも可能なはずです。

〇稲葉さんが思うエシカル消費とは?

 一人ひとりが、自分なりの「より良い未来」につながれるようなモノ・コトとの関わり方のことだと思います。

〇最後に、「長野県らしい」エシカル消費とはなんだと思いますか?

 長野県では、ネイチャーポジティブやサーキュラーエコノミーなどの先進的な取り組みが各地で行われている一方で、地元の自然に根差した暮らしが営まれています。その新しさと地に足がついた感じのバランスが長野県らしいエシカル消費だと思います。

プロフィール
お名前稲葉哲治さん
えしかる屋 プロデューサー
活動歴12年
活動概要鎌倉にあるエシカル商品のセレクトショップ「えしかる屋」プロデューサーとして、店舗の企画の他に講演やイベント、アドバイザリーなどに取り組んでいる。長野県の「エシカルプロモーションスペシャリスト」としてエシカル消費の普及活動にも関わった。