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2022年07月12日更新

特定商取引法

特定商取引法(旧称「訪問販売法(訪問販売等に関する法律)」)は、訪問販売や通信販売等、以下に挙げる消費者トラブルを生じやすい取引類型を対象に、事業者が守るべきルールと、クーリング・オフ等の消費者を守るルールを定めています。これにより、事業者による違法・悪質な勧誘行為等を防止するとともに、消費者の利益を守るための法律です。

特定商取引法の対象となる取引類型

  • 訪問販売
    自宅へ訪問して行う取引、キャッチセールス(路上等で呼び止めた後、営業所等に同行させて行う取引)、アポイントメントセールス(電話等で販売目的を告げずに事務所等に呼び出して行う取引)等のこと。
  • 通信販売
    新聞、雑誌、インターネット等で広告し、郵便、電話等の通信手段により申し込みを受ける取引のこと。「インターネット・オークション」も含みますが、「電話勧誘販売」に該当するものを除きます。
  • 電話勧誘販売
    電話で勧誘し、申し込みを受ける取引のこと。電話をいったん切った後、消費者が郵便や電話等によって申し込みを行う場合にも該当します。
  • 連鎖販売取引
    個人を販売員として勧誘し、さらに次の販売員を勧誘させるというかたちで、販売組織を連鎖的に拡大して行う商品・役務(サービス)の取引のこと。
  • 特定継続的役務提供
    長期・継続的な役務(「えきむ」と読み、いわゆるサービスを意味します)の提供と、これに対する高額の対価を約する取引のこと。現在、エステティックサロン、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室の7つの役務が対象とされています。
  • 業務提供誘引販売取引
    「仕事を提供するので収入が得られる」という口実で消費者を誘引し、仕事に必要であるとして、商品等を売って金銭負担を負わせる取引のこと。
  • 訪問購入
    事業者が消費者の自宅へ訪問して貴金属や着物などの購入(買取り)を行う取引のこと。

事業者に対する行政規制

  1. 書面交付義務
    訪問販売、電話勧誘販売の場合、法定の要件を満たした申込書面と契約書面の交付義務がありますが、申込と同時に契約をする際は、契約書面の交付のみでよいとされています。
    それに対して、連鎖販売取引、特定継続的役務提供、業務提供誘引販売取引については、契約締結の前に契約内容や事業概要を記載した書面(概要書面)及び契約時に契約書面と、必ず両方も書面を交付しなければなりません。この書面交付義務に違反した場合、行政処分、刑事罰の対象となります。また、法に定める契約書面交付日が、クーリング・オフの起算日となります。
  2. 広告規制
    通信販売、連鎖販売取引、業務提供誘引販売取引では、広告表示をする場合、一定事項について表示することが義務付けられ、違反した場合は行政処分、刑事罰の対象となります。また、消費者があらかじめ請求や承諾をしない電子メール広告を送信することは、原則として禁止することが今回の改正で盛り込まれ、この部分については20年12月から施行されています。ただし、契約内容の確認や契約の履行に関わる重要事項の通知に併せて付随的に広告を掲載する場合やメールマガジン等に付随する広告メールは適用除外とされています。
    さらに、通信販売、連鎖販売取引、特定継続的役務提供、業務提供誘引販売取引では誇大広告が禁止され、違反した場合は行政処分、刑事罰の対象となります。
  3. 不当な勧誘等の禁止
    1. 訪問販売、電話勧誘販売、連鎖販売取引、業務提供誘引販売取引では、事業者は、勧誘の前に、販売目的の勧誘であること、氏名・名称、商品・役務等の種類を明示するよう義務付けられています。これに違反した場合は、行政処分の対象となります。
    2. 消費者を勧誘する際、重要事項について嘘を告げる行為(不実告知)、重要事項を故意に告げない行為(故意の不告知)は、禁止されています。これに違反した場合は、行政処分、刑事罰の対象となります。
    3. 消費者のクーリング・オフの申し出に対し、事業者が「商品を使用したからクーリング・オフできない」「この商品は対象外」と嘘をついたり、声を荒げるなど威迫したりして、消費者のクーリング・オフの行使を妨害することは禁止されており、これに違反した場合は行政処分や刑事罰の対象となります。
    4. 販売目的であることを隠して、公衆の出入りしていない場所等に誘い込んで、勧誘することは禁止されています。キャッチセールスやアポイントメントセールスはこの禁止行為に当たることが多く、これに違反した場合は、行政処分、刑事罰の対象となります。
    5. 消費者を勧誘する際に、消費者に勧誘を受ける意思があるかどうかを確認する義務があり、契約を結ぶつもりがないという意思を表示した消費者に対する勧誘は、禁止されています。これに違反した場合には、行政処分の対象となります。

消費者救済のための民事ルール

  1. クーリング・オフ
    通信販売以外の5種類については、申し込みまたは契約後に、一定期間内に無条件で契約を解除するクーリング・オフを認めています。詳しくは「クーリング・オフ」をご覧ください。
  2. 不実告知等を理由とする契約の取消し
    不実告知や故意の不告知の違法勧誘によって、訪問販売等の契約を締結した場合、消費者は契約を取り消すことができます。
    特定商取引法では、消費者契約法によって取り消せない「契約を結ぶ動機となる事項」に係る不実告知も取消しの対象となっています。取消しの方法や効果、取消しができる期間は消費者契約法と同じです。
    例えば、浄水器の訪問販売で、事業者が契約を結ばせるために、「水の汚れがひどく健康に良くないから」と嘘をついて浄水器を付けた場合、「健康に良くないから」というのが動機にあたります。この場合、浄水器そのものに問題がなくても、取消しができます。
  3. 中途解約
    連鎖販売取引及び特定継続的役務提供は、クーリング・オフ期間経過後も、理由の如何を問わず、中途解約ができます。その際、事業者が請求できる解約手数料の上限も定められています。また、連鎖販売取引では、一定の要件を満たした場合は、商品を返品することができます。
  4. 過量販売解除
    最近の消費者被害あとして「過量販売」「次々販売」が多く見られます。通常では考えられない過剰な量の商品を買わされた場合には、契約後1年間は、契約の解除をすることができます。これは1回の契約で過剰な商品が販売された場合や、販売業者が何度もやってきて次から次へと(別の機会に)商品が販売され、結局過剰な商品が販売された場合どちらでも契約の解除ができます。

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